サイゼリヤからロブションまで

サイゼリヤの様な格安店からロブションの様なミシュラン三つ星店まで。東京はもちろん地方の小都市のお店まで。日本国内はもちろん海外まで。幅広く伺ったお店を紹介しています。

出羽屋-西川町

春と言えば山菜。その山菜を存分に味わうべく山形の奥地までやって来ました。


外観及び内装は完全たる古き良き旅館の趣き。私は例の如くロードバイクで伺ったのですが、快く館内に置かせて頂きました。こういうのってすごくありがたい。

 

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この日私はシェフズテーブルを予約。元々蔵だったお部屋に案内されると1人では完全に持て余すほど大きなお部屋です。学生時代であれば10人は余裕で泊まれる程のスペース。もはや大き過ぎて落ち着きません。


夕食の時間になり、部屋の階上に上がって行くと、そこにはカウンターが。そこではシェフがつきっきりで料理を振舞ってくれます。なにこれ超良いじゃん。何より泊まってる部屋から階段を上がっただけというのが良い。プライベート感を通り越して完全にプライベートです。

 

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まずはお茶で胃を温めます。

 

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この日の料理はこんな感じ。山菜中心にジビエや地の物がラインナップ。

 

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まずはビール。

 

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山菜豆腐に胡桃味噌でいわば田楽風に。青い香りがこれから始まる山菜達を予感させます。

 

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季節の山菜。滋味深いとはこういう事を言うのだろうと言う程、素朴でも輪郭のはっきりした料理です。山菜と一言に言えど色んな種類があり、味も香りも全然違うんだなと今更ながら気付かされる一品でした。

 

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仙人の霞。キブノリ(木生海苔)と呼ばれる苔の一種だそう。酒を呼ぶ味わいであり、仙人もきっとこの霞を食べながら酒を飲んだに違いありません。

 

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写真ブレブレですがお酒はワインをグラスでおまかせで。ほぼビオワインとの事でかなり気前良く色々と出して下さいました。1人客にここまで出すってすごいなあ。

 

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お椀は桜鱒。こってりとした鱒にわさびが心地よい。

 

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どどん。何と熊の手の煮込みです。熊の手がかなりしっかり煮込まれておりホロホロと崩れます。味付けもかなり濃い目であり、慌ててワインを追加オーダー。こういう急な方向転換、嫌いじゃない。

 

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蕗の薹のうどんと書いてあったのでさっぱりしたものを想像していたら全く違うものが来ました。苦味の効いたクリームパスタの様で、熊の手に続き予想外のコッテリ系二連投。とは言え蕗の薹の苦味があるのでしつこくはありません。山菜料理と言うから素朴なものを想像していましたが良い意味で裏切られました。

 

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さて天ぷらへ。まずは山うど。サクッとした食感、生姜を思わせる様な爽やかな香り。山菜の天ぷらって美味しいなあ。

 

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こごみ。春の恵みを象徴する様なしっかりとした苦味。いつからこんなに苦味が好きになったんだろう。

 

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失念しましたが山菜と一口に言えどバラエティーに富んでいます。

 

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タラの芽。先日の勢麟の特大ものも良いですが、このタラの芽も良い。爽やかな青さに仄かな苦味。幸せの溜息が出てきました。

 

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熊肉をしゃぶしゃぶで頂きます。冬眠明けのツキノワグマと仰ったので、脂が落ちて旨味も弱いのかなと思いきや、これがしっかりと脂が乗って美味い。シェフも私も最近まで知らなかったのですが冬眠明けすぐはちゃんと脂が乗ってるんですよー、との事。世の中知らない事は沢山ある。

 

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山形牛のステーキ。赤身中心で熊とはまた違った方向性です。山菜のサラダも変化となり肉が続きますが重さはありません。

 

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〆は桜鱒とうこぎのご飯。こんなん美味しいに決まってるやん。お腹いっぱい。階下でゴロンってしたい。

 

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フィナーレは甘味。蕗の薹を混ぜたカステラの様。御馳走様でした。お約束通り階下へ向かい布団にゴロン。何と幸せなのか。

 

 

伺う前は山菜料理という言葉のイメージで、素朴なものが中心で物足りなさを少し懸念していたのですが、とんでもない。山菜を中心としながらジビエを組み込んで、かつ調理にも抑揚があり全く飽きず、かなりの満足感がありました。蕗の薹のうどんとか意外性しかない。


ワインもビオで優しい味いであり、普段の私の好みとは少し違うものなのですが、こちらの料理にはこういう味わいのビオしか考えられないと終わる頃には気付かされました。山菜の季節感のある苦味や香りにはビオが合うんですね。


一流の料理人が一流の食材を使って自分のためにだけに料理を振る舞ってくれる。しかもその料理はこの季節にここでしか味わえないもの。これこそが美食の究極形なのかも知れません。食とは体験であるという持論からいえば、正にここはそう。季節を変えてお邪魔したくなる。その為にここまでくる理由がある。


この日の夜、心穏やかで温もりに包まれた様な夢を見ました。内容は覚えてないけれど、こんなにも幸せな夢は久々だな、と目を覚ました瞬間に思いました。普段夜中に目を覚ます事が多い私が朝まで一度も目を覚ます事が無かった程。それは心も身体もこちらの料理によって満たされたからに違いありません。


何と贅沢なのか。山菜という御馳走を味わいにまた必ず来ます。御馳走様でした。

 

 

出羽屋
0237-74-2323
山形県西村山郡西川町間沢58
https://tabelog.com/yamagata/A0605/A060505/6000120/