春の三心。去年は向かいの公園の桜が散り始めぐらいでしたが、今年はほぼ散りかけの季節にお邪魔しました。今回は初めての14時回です。
まずは赤星。今年もこの時期にここに来れて良かった。
トップバッターは百合根の茶碗蒸し。あまり聞きませんが百合根の優しい甘味と香りが広がります。春らしい優しいスタートです。
続いて鰆は漬けと焼き霜で。これは美味しいですねえ。漬けはあっさりとした鰆にアクセントを加え、焼き霜は鰆らしい香りが抜群です。
子持ちイカ。辛い鬼おろしと甘く仄かに温かいイカが抜群。臭みなどつゆほどもなく何匹でも食べたいと思わせてくれます。
金目鯛は焼いたものを菜の花のあんかけで。皮目の香ばしに菜の花の苦味がグッド。うんうん、こういう香りの重ね方が好きなんです。
さて握りに入ります。まずはアラ。先に言っておきますがこの日は照明の具合なのかちょっと写真が微妙です。味はまあ普通の白身でした。
春の三心と言えばこの鳥貝。柔らかく鳥貝らしい甘味が口いっぱいに広がります。春は貝。子供に呼んで覚えさせたい。
鳥貝の肝が出てきました。昼なのに日本酒が飲みたくなってしまいます。
天草の鯵。この鯵はマッチョですねえ。タフな食感に咀嚼すると溢れる旨味。これぞ天草の恵み。
鮪は那智勝浦のもの。冬の鮪に比べると脂が落ちて酸味が心地良いですね。脂ノリノリの冬の鮪も良いですが春の鮪も良いなあ。
ええ、ひどい写真です。そろそろiPhone買い替えないとな。実はスマホのレンズが一つ割れているのです。何はともあれこの中トロも美味しい。
筍。筍の香りってなんでこんなに良い香りなんでしょう。ちょこんと添えられた蕗味噌も存在感があります。
小肌。また少し〆方が変わった気がするなあ。割と酢が効いてるのに小肌本来の香りも強いのが特徴的。
色味がアレだったりボヤけてたりと本当に申し訳無いですが九十九里の蛤。これだけはあんまり好みじゃないんですよね。もっと蛤本来の味のままで良い。
白魚は桜の葉に蒸してあります。桜の香りと白魚の仄かな苦味。味どうこうというより侘び寂びです。
海老。甘い、甘いよお。今年はもう一度奴寿司に行きたいなあ。
クエを炊いたもの。うわ、これスープが抜群に美味しい。何と上品なのにしっかりとした骨格なのか。
春子鯛。さっぱりして食感がタフで正に鯛という味わい。
ホタルイカを包丁で叩いてるなーと思っていたらなんと握りに。これは美味しいですねえ。ホタルイカの濃密な味わいにわさび菜のアクセントが光ります。世の中の寿司屋みんな真似してほしい。
柿の葉寿司も出てきました。鱒です。私は結構柿の葉寿司が好きなのですが、この鱒は脂が乗っていて酢飯との相性抜群。一本食べたい。
味噌汁で一息。
さてここからお楽しみの追加オーダーです。この瞬間のワクワクがたまらない。やっぱりアラカルトって楽しいよね。
まずは石鯛。カットが細かく鯛なのにトロける様な食感。旨味も強く見た目通り赤身に負けない力強さ。
泉佐野の赤貝。口いっぱいに甘味のある赤貝を頬張る幸せ。幸せの溜息が思わず漏れる。やっぱり春は貝だなあ。
穴子。ここの穴子好きなんですよね。控えめな炊き具合に最後炙るので香ばしさもある。世の中の寿司屋はみんなこうやって穴子を握ってほしい。
赤貝のひもきゅうをサービスで。こういうツボを押してくる所が好き。
最後はいつも通り鉄火巻きを一本で。はあ、美味しい。人生色々ありますが私は間違いなく幸せだ。
フィナーレの卵焼き。少し硬めになった気がする。ほんとここの寿司は進化が止まらない。
隣のアトリエに移動して苺大福。白餡が美味しい。これも作ってるんだよなあ。いつもながら頭が下がります。
これにおみやの稲荷寿司も付いて以上で31000円。今回も大変美味しゅう御座いました。
私は季節感のある料理が好きで、だからこそ寿司が好きなのですが、こちらの寿司は季節感が他のどこよりも感じられます。それでいて工夫や変化があり、トータルとして一切飽きが来ない。和食の様な抑揚があります。
店内の皆が大将の握る寿司や動作に夢中になっている。この瞬間もすごく好き。本当に美味しいお店ってそうなんですよね。楽しそうに話してるお客さんも次は自分の番だ、となると大将の所作をじっと見ている。そしてその期待感を上回る握り。種類は違えど成生と似た様な雰囲気を感じます。3ヶ月に一度なのが本当に惜しい。毎月でも毎週でも行きたい。でも人生とはそれぐらいが良いのでしょう。
次は夏に行けるかな。暑い大阪の街を思いながら心地良い夕方の街を歩く。ご馳走様でした。また来ます。
鮨 三心
06-6767-0677
大阪府大阪市中央区内久宝寺町2-7-14
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