またしても奈良にやってきたのはこちらに伺う為。ゴエミヨにも2年連続で掲載されています。
お店があるのは東大寺のお隣、屋敷が連なる一角がこちらのお店です。外観からして既にむちゃんこカッコ良く期待が高まる君です。
アプローチ、そしてウェイティングスペース。お庭も見えます。神社仏閣の隣と言う意味では成生、屋敷という意味では御料理ふじ居が思い出されますが、比類するほどのカッコ良さ。鈴虫の声が聴こえるのも良いですね。
ウェイティングスペースでまず大和橘という日本固有の柑橘を絞ったものを頂きます。あれ、この感じレヴォに似てる。というと嫌な予感。これ自体は香りが良いのですが、別に美味しいとかそう言う物ではなかったので悪い記憶が呼び起こされます。
そもそも私にとってスペイン料理はbb9やアラルデという地雷経験があったのでちょっとビビってます。それでいてレヴォみたいな感じだとどうなるんかなと少し暗い気持ちになりながらも店内へ。
メニューは名刺サイズに素材が書かれていて、一つ一つサーブしてくださる方が説明して下さいます。
まずは鰯に大和橘、ソースはシェーブルチーズです。光物と柑橘はよく分かるのですが、そこにシェーブルのクセのある香りが重なります。合ってない様で合ってるというか不思議と美味しい。すごい組み合わせでちょっと頭が混乱しそうです。
ドリンクはペアリングでお願いしました。まずはスパークリング。チーズの香りにはぴったりです。
パン。パン自体は見た目に比べると普通ですが、オリーブオイルが滅法美味しいですねえ。またすんごく熱々です。カリカリなのも良い。
大豆のスープにメロンやらセロリのグラニテ。うーん、これも美味しいぞ。食材を聞いてもよく分からず、食べてもよく分からないままですが、味は美味しいんですよね。大豆感とメロンやセロリがちょうど合ってます。すげえ説明が難しい。
こちらにはシェリー。ペアリングも合ってるのか合ってないのかよくわかりません。どっちかと言うとこの合わせ方はイマイチでした。
水蛸にパプリカのシャーベット。最初にパプリカの香りが来て、その後に水蛸の香りと、咀嚼する事を前提として香りを多層的に重ねてます。凄い香りの重ね方だなあ。
アルバリーニョ。これは素直に美味しいワイン。アルバリーニョってフレッシュなぶどうの香りで好き。蛸にも良くあっています。
牡蠣とアスパラ。本当に今年は牡蠣をよく食べます。牡蠣のミルキーさ、ねっとり感と、アスパラの青々しい香りとシャクシャク感。すごい合わせ方だなあ。アスパラの火入れが絶妙で食感として新しく感じました。
これには地元の篠峯という日本酒。どっかで日本酒出してきそうだなーと思って居ましたがやっぱり来ました。普通に美味しかったからOKです。
玉ねぎのパン。パン自体も美味しいけどやっぱりオリーブオイルがすんごい美味しい。このオリーブオイル飲める。
鶏肉のパテにヨーグルトのソース。これはパテ自体が滅法美味しいですね。はっきりとした味付けにヨーグルトのソースもよく合う。ここでパテかよと思うのですが、必然性を感じました。
シチリアのロゼ。しかしここのシェフの料理に合わせるお酒考えるの大変そう。料理の香りが多層的だから何を合わせるか難しい。
全粒粉の素麺にイチヂクのフライ。生ハムの出汁で取ったスープ。生ハムとイチヂクはたまにありますが、ここに素麺とは。すげえなあ。そしてしっかり美味しい。字面通りの香りや味なんですが、食べる前は想像出来ない所がすごい。
これにはブルゴーニュルージュ。酸味の効いたピノでぴったりやないか。やるやん。
メインは金目鯛。ソースとかややこしいんですが、やっぱりそもそもの金目鯛が大変に美味しい。火入れも素晴らしく金目鯛自体の味が濃い。
これにはソーヴィニヨンブランだったかな。金目鯛が美味しくて印象に残らず。
鴨。茄子が下にあります。うげーむちゃんこ美味しいぞ、これ。とにかく鴨の味が濃厚で、かつ嫌な脂がなく、いくらでも食べれそう。火入れが素晴らしいんでしょう。茄子も控えめで脇を固めています。この二つのメインだけでも相当に満足度が高くなりました。
メルローだったかな。邪魔せずいいですね。
パンもまたお代わりくれました。これも熱々です。
デザートの前にチーズが少しだけ。デザート前の準備体操的な位置付けなのかな。
デザート一品目は抹茶のシフォンケーキ的なもの。これはまあ普通に美味しいデザートでしょうか。これまでと比べると印象には残り辛かった。
二品目はアイス。バジルとカルダモンと杏仁のアイスです。これまた多層的な料理だなあ。形容し難い味わいなのですが美味しい。
紅茶とお茶菓子で御馳走様でした。
お会計は26000円ちょい。コース13000円にペアリング8500円に税サが付く明朗会計でした。
すごく印象的なお店でした。外観や内装は素晴らしくテンションは上がる一方で、料理を出す時の演出は世界を意識した様なやり過ぎ感があり非常に苦手で、料理も何だか変化球を狙い過ぎた合わせ方でレヴォの時と同じ感覚だったのですが、口に入れると美味しい、これが全てを肯定しています。
味や香りをとにかく足していく多層的な料理は他にもありますが、その足す数が非常に多く、またトリッキーとも言える合わせ方であり、口に入れた瞬間混乱するほど。そして混乱しながらも本能的に美味しいと感じてしまい、更に混乱するという不思議な料理でした。褒めてるのか褒めてないのか分かりませんが、すごく褒めてます。
課題としては、とにかくサービスですね。サービスが明確に足を引っ張っています。1人の方を除いて店の格や雰囲気にしては素人感が出過ぎていました。テーブルウォッチングもあからさまで、メニューを読み上げるのもよくできましたと言ってあげたいぐらいの棒読み感。雑談できないのに無理矢理したりなど、頑張っているのは分かるのですが、洗練された雰囲気を出したいのにサービスがついてこれておらず、見事なミスマッチが起きています。
逆に言えばサービスが付いてくればミシュランなら二つ星は固い。なんせあのレヴォが二つ星なんだから。毎度レヴォを引き合いに出してすみません、それぐらいがっかりだったんです。
今のトレンドを追いかけながら、そもそも美味しいというのはありそうで無く、なぜ予約が取りやすいのか理解不能なレベル。予約が取りやすいのは奈良だからなのかなあ。私はこの手のお店は好きでは無いのですが、その私ですら感服せざるを得ない。シェフが今後どこに向かっていくのか楽しみにしたいと思います。御馳走様でした。
アコルドゥ
050-5456-4090
奈良県奈良市水門町70-1-3-1
https://tabelog.com/nara/A2901/A290101/29010346/