サイゼリヤからロブションまで

サイゼリヤの様な格安店からロブションの様なミシュラン三つ星店まで。東京はもちろん地方の小都市のお店まで。日本国内はもちろん海外まで。幅広く伺ったお店を紹介しています。

ラトリエ あべ-山河内

徳島県の南部、高知県との県境方面にあるこちらにお邪魔しました。ゴエミヨでは2020、2021と2年連続で掲載されています。


元々19時に予約していたのですが、少し早めに行けそうだったので昼に電話するもドコモの自動音声が流れ繋がらず。その後何回もかけるも同じ状態であり、時短も始まってもしかしたら休業になったのか、私への連絡が漏れていたんじゃないかと暗澹たる気持ちでとりあえず向かいます。


1時間に一本しかない電車に揺られ、駅を降りると民家が数軒、そしてその裏は森という秘境駅に近いロケーション。こんなとこでやって無かったらどうしようと恐る恐る店に行くと、何の事は無く普通に明かりが付いています。戸を開けて聞くとどうやらおばちゃんが電話料金払い忘れていたとの事。引き落としじゃないんかい、と心の中でツッコミましたが、かなり早く着いたにも関わらず快く引き受けて頂きました。良かったマジで。

 

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という事で前置きが長くなりましたが、まずはビール。カールスバーグです。ほっと胸を撫で下ろして飲むビールは美味い。

 

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お水代わりという事で、冷たい番茶が出てきました。当然に無料ですがこの番茶が美味しい。暑かったのでこちらもがぶ飲みしました。

 

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店内は古民家を改築したのか、畳敷の大広間にテーブルをセッティングしています。小さいながらお庭も見えて、日が暮れていく様子が見えるのもいとをかし。成生ふじ居の様な立派なお庭とはとはまた違う趣があります。

 

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まずはアミューズ。トマトのシャーベットです。ゼリーもトマト、チップスもトマトであり、爽やかな酸味。途中シャルトリューズをかけると甘みが追加され味変。夏らしい滑り出しです。

 

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こちらはトマトのシャーベットと同時に出されたスモモの液体を薄い皮で包んだもの。スモモらしい爽やかな甘さ爽やかです。

 

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タコとリードヴォーのソテー。ソースがキュウリをヨーグルトにつけて発酵させたソースにかつおつぶが入ったものらしいのですが、香りが良く、タコとリードヴォーにもしっかり合っています。小松菜のパウダーが苦過ぎる気がするも、素材の美味しさがちゃんと出ています。

 

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白のグラスワインを頼むとロブションのワインとの事で品種などは特に言及ありませんでした(ソーヴィニヨンブラン?)。しかしたっぷり。気前が良いのは素晴らしい。

 

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天然酵母のパンは自家製。バターはエシレです。小麦の香りが良く、ソースとの相性もバッチリです。

 

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鱧のベニエ(天ぷら)に、ビーツとベルガモットのソース。なるほどこれもソースの存在感が素晴らしい。鱧の食べ方としてはこういう方が好き。


気付けば夜の帳が下り、蝉の声は鈴虫の声に変わっていました。そんな日本家屋でフレンチを食べるとは何とも言えない雰囲気があります。良いなあ。

 

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天然鰻とフォアグラのソテー。ああ、美味しい。鰻とフォアグラであり超コッテリかと思いきや、鰻の脂がしっかり落ちているのかそれほどしつこく感じませんでした。ソースが真っ当なフレンチのもので素直に美味しいと溢してしまいます。

 

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鰻なので赤を頼むとまたもやロブションのものとの事。あんまり拘りは無いのかも知れませんが、サービスのおばちゃんはそれなりに詳しそうでしたので、気になる人は色々聞いてみても良いかも知れません。ちなみにちゃんと料理には合っていました。多分カベルネ

 

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ロワイヤル(茶碗蒸し風)に鯛出汁と阿波尾鶏の出汁を合わせたもの。そして一緒に鯖のハムにバルサミコで炊いた酢飯を載せたもの。

どう見ても和食の見た目なのですが、口に入れるとコンソメの香りが立ち完全にフレンチ。寿司みたいなものも鯖とバルサミコの香りが洋風寿司みたいで不思議とよく合います。すげえなあ、どこをどうやったらこんな発想になるのか。

 

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魚料理は白甘鯛にビスクソース。フレンチど真ん中に戻って来ました。甘鯛の甘い香りにビスクソースの甲殻類の香りが重なり幸せの溜息が出ます。美味しいよお。

 

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ソースを残しておく様に言われたので残しておいたら何と白米が来ました。それをソースにダイブ。こんなん美味しいに決まってるやん。ど真ん中フレンチに反則技をさらりと出してくる辺りシェフの遊び心が見えました。

 

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肉料理は松阪牛のカイノミ。魚料理に続くど真ん中ストレート。脂がしつこくなく、それでいて肉は柔らかく、ソースが真っ当。ポーションも大きく、フレンチのメインを食べているという充足感がありました。

 

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これには赤ワインを合わせたいですよね、とおばちゃんが何とサービスで一杯出してくれました。これも普通に一杯やん。このワインも美味しくそして肉料理にぴったり。美味し過ぎてこの一皿で一杯飲んじゃった。

 

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さてデセール。まずは山芋にうずらの卵黄を落としたもの、では無くて梨のソースにパイナップルのコンポートです。これだけでも美味しいのですが、ここにウォッカダージリンのソースで味変。ウォッカの香りとダージリンの香りがものすごく合う。全部ちゃんと香りが合うのがすごい。

 

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またもやおばちゃんがサービスですとデザートワインまで頂きました。写真は飲んでしまった後から慌てて撮りましたがこれも普通に一杯です。何なんだろうか、私気に入られたのかな。にしても気前が良い、というか良過ぎる。

 

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続いては茗荷のグラニテに、シャインマスカットにカカオのコーティングをしたもの。ロゼのジュレも入っています。字面じゃ分からないと思いますが、バランスの取り方がすごいですね。茗荷が全体をまとめていて、え、茗荷かよと思った自分を責めたくなりました。

 

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デセール3品目はハーブのアイスクリーム。最後はさっぱり締めて来ました。これも香りが良い。

 

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最後はコーヒーとお茶菓子。ほおずきが美味しかった。よう食べた。

 

 

料理として純粋に美味しいだけでなく意外性があるものが多く、食べていてとても楽しかったのが印象的でした。食材の合わせ方、見た目、ソースにご飯を入れるなど、予想出来ない展開であり全く飽きません。しかしながら全体を通してソースがしっかりと美味しいので、フレンチを食べたという満足感があります。


シェフは結構なベテランだと思うのですが、料理を楽しみながら作っているんだなあというのがよく分かる料理でした。変化球の連続に思いがちですが、これを食べてどう感じて欲しいのかが明確なので食べるこちら側も首を捻る様な事が無く、純粋に食と向き合えた様な気がします。華美な食材や映える見た目では無い、食事というものの本質を捉えた料理だと思いました。こういうのが本当の贅沢です。


サービスも素晴らしかった。おばちゃんがコテコテの徳島弁であり割とフランクなので最初は雰囲気に合わないかなと思ったのですが、料理や飲み物の説明の節々に美味しく食べて欲しいという気持ちを感じる温かなサービスでした。ワイン2杯サービスしてくれた事よりも、その気持ちに私はとても感動しました。

 


これだけでも満足なのですが、お会計をもらって仰天。7750円ですよ。我が目を疑いました。意味不明過ぎて一瞬脳がバグったかと思った。そう言えば5000円のコースを頼んだんだったと思い出しましたが、自分の食後感と費用が合って無さ過ぎて混乱。

よく考えるとワインもあんなたっぷりで1000円ぐらいだし、サービス料がどう考えても入ってない。費用対効果とか言う概念がぶっ飛ぶ程、もはや慈善事業の域です。原材料費もそうですし、この日私しかゲストが居なかったのでどう考えても人件費も出ておらず、何だか申し訳無くなりました。実は電話料金も満足に払えて無いのかな。実は引き落とし出来なかったんじゃないか。それは無いか。


素晴らしかった。印象的な料理、信じ難い程のコスパ、愛を感じるサービス、どれを取っても一級品です。僻地度ではこれまで私が伺ったレストランの中でもトップクラスですが、間違いなくそこまで行く価値はある。

実はもう一つ感動するサービスが合ったのですが、お店の方に迷惑がかかると悪いので記載しないでおきます。本当に素晴らしいお店でした。遠いですがこれから何度もこちらにお邪魔したいと思います。次は1番高いコースにしてみよ。御馳走様でした。

 

 

ラトリエ あべ
0884-77-3755
徳島県海部郡美波町山河内字なか26
https://tabelog.com/tokushima/A3602/A360203/36005067/