岐阜県高山市のこちらにお邪魔しました。中心街からタクシーで15-20分ほど行った山の中にあります。ミシュラン一つ星。
外装は地方のちょっと良いお店という感じ。私はカウンターに座りましたが、ウイスキーやらリキュールやらが並びちょっとしたバーの様な内装であり、良い意味で雑多な感じがします。ちなみに個室もあるそうです。
コースは色々ありますが、私はお任せの11000円のコースをオーダーしました。
生ビールを飲みながらのトップバッターは枝豆の刷り流し。さっぱり。高山市って盆地だから暑いんですよね。枝豆が心地良い。
続いては夏野菜の煮浸し。ほっこりする様な味わい、素朴そのものです。
最初に生ビールを飲んだ後は瓶ビールを飲みながら日本酒をオーダー。「お、お兄さんイケる口だね」と大将。最初は寡黙な感じかと思ったのですが、後々分かる通り結構フランクなおっちゃんでした。
日本酒ですがこれからのお料理に合わせて幾つかオススメを教えてくれます。まずは地元の蓬莱というお酒。酸味が強くて面白い味。
鮎の塩焼き。大将自らその日の朝に釣ったものとの事。我慢出来ずに写真を撮る前に頭を食べてしまいました。
これが正に絶品。とにかくクリアーな鮎という味わいであり何匹でも食べれそう。鮎と言えば銀座しのはらの鮎を思い出しますが、それを超えて歴代No. 1の鮎でした。
そしてこの鮎にはどんな日本酒よりもビール、しかもアサヒスーパードライが1番合うと力説されたのですが、正にその通り。クリアーな鮎なので日本酒だとちょっと米の味が強過ぎるんですね。ビールもスッキリした苦味のアサヒスーパードライがぴったり。
鱒の燻製に飛騨牛のローストビーフ。鱒は鮎同様臭みがなくクリアーな味わい。飛騨牛は肉の味が濃く素直に美味しい。
夏野菜の天ぷら。専門店と比べては酷ですが、あっさりしたものが続いたので流れとしては良い頃合いでしょう。単純に私が天ぷら好きなのもありますが。
日本酒。またしてもおっちゃんが次はこれだからこれが良いよとオススメしてくれます。ここまで細かく説明してくれるのはすし初以来です。
茄子だったかな、煮浸し的なもの。素直に美味しい。良い意味で美味しい居酒屋的な料理です。
飛騨牛のランプのステーキ。これは単純明快に美味しい。ここまでの流れからすると唐突感はありますが美味いものは美味い。あまり脂がギトギトしていないのも良かった。
鮭のあんかけ。これも普通に美味しい。なんというか秋と夏のあいのこみたいな味わいでした。
ヤマメ?の燻製。これはもう日本酒ですね。燻製香はそれほど強くなく、ハムっぽい感じでクリアーな味わい。
ご飯は生姜を乗せたもの。さっぱり。最後までさわやかに駆け抜けました。
最後は白桃とトマトのソルベ。これもさっぱりして御馳走様でした。
お会計は1人当たり15000円程度。星付きのお店にしてはお安いですが素朴な印象からすると妥当なレベルでしょうか。
良い意味で田舎料理的でした。懐石や割烹ともまた違い、季節の食材をあまりこねくり回す事なく頂けます。洗練された料理ではありませんが、旬の素材をダイレクトに味わうという意味では非常に良いでしょう。
何より心に残ったのはおっちゃんのこの土地のものに対する愛ですね。何故ここのお店でこういう食材、料理を出すのか、極めて明確でありそこにとにかく深い愛情を感じました。日本酒の合わせ方一つ取っても料理とお酒の相性をとにかく考え、1番美味しく味わって欲しい、そんな気持ちを感じました。
人によっては鬱陶しいかも知れませんし、素朴な料理なので物足りなさがあるかも知れません。豪華な食材とは対極の様な食材ですし、調理もシンプル。見た目が華やかな訳でも無いし、時代遅れと捉える人もいるかも知れません。
しかし料理には愛情が1番大切だと思っている私はとても好感を持ちました。その愛が料理を通じて食べ手に伝わって来るんですよね。だからとても居心地が良かった。
秋にはキノコだらけになるそうです。聞いた事も無いキノコがいっぱい出ますよー、と語るおっちゃんは凄く楽しそうでした。そんな姿見たら食べたくなってしまう。
東京や京都の洗練された空間で極上の和食を頂くのとはまた違う、でもこの場所でやる意味、この場所でしか食べれないものがある。そういう経験に価値を見出す人にはオススメです。私もまた秋に来たいと思います。御馳走様でした。
飛騨季節料理 肴
050-5868-3781
岐阜県高山市越後町1126-1
https://tabelog.com/gifu/A2104/A210401/21010387/