サイゼリヤからロブションまで

サイゼリヤの様な格安店からロブションの様なミシュラン三つ星店まで。東京はもちろん地方の小都市のお店まで。日本国内はもちろん海外まで。幅広く伺ったお店を紹介しています。

レヴォ-南砺市

昨年1月の移転直前に伺ってから一年半。昨年末に更に山奥にオープンしたという情報を耳にしてからようやく伺う事が出来ました。つい先日発刊された北陸版ミシュランガイドでも二つ星になっています。

 

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以前はリバーリトリート雅樂具という宿泊施設の中のレストランでしたが、移転して自ら宿泊施設を運営する様になりました。ですのでレストランと宿泊施設は別々でレビューします。今回はレストランです。


レストランはウェイティングルームで時間まで待つ形。ちなみに次の日の朝チェックアウトを同じスペースでやったのですが、窓の外にクワガタが張り付いていてテンション上がりました。クワガタとか生で見たの何年振りやろ。


レストランはテーブル席が4つ程にカウンター席もあります。広大なフロアにオープンキッチンが半分以上を占める優雅な作り。あそこで料理しながら客のリアクション見るの楽しいだろうなあ。

 

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この日のメニュー。何か樹皮みたいな手触りのメニュー表でした。金かかってるな。キッチンのスタッフも多いし、こんな田舎でかなりお値段しますが、なるほどこういう事かと合点がいきます。

 

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まずは楓の樹液。金箔に見えるのは器の柄で樹液自体は無色透明です。味はまあ仄かに甘い香りのする味のごく薄い液体です。これは美味しいとか美味しくないとかそういうものじゃないんでしょうね。

 

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ペアリングは13000円とこちらも都内みたいな値付けです。まずはシャンパーニュに黒文字というここら辺の樹木の香りをつけたものだそうです。シャンパーニュにしてはさっぱりというか、食前酒っぽい味わい。この値段なら普通にシャンパーニュ飲みたかったな。


まずはアミューズ達。ネタバレすると前回と同じようなラインナップです。

 

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なんやかんやを揚げたものにヤギのチーズ。はっきりとしたチーズの香りが美味しい。

 

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ビーツのムース。溶けるように無くなります。ビーツってそんなに好きじゃないけどこれは好き。

 

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胡麻のリエット。なんというか凄く美味しいスナック菓子みたいというか、良い意味で庶民的な味わい。

 

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白海老のタルト。これはまあ白海老です。

 

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これは山クラゲの揚げ物。美味しいのですが、揚げ物の味で居酒屋チック。山クラゲってどこかで聞いたなと思い出していたら昨年夏に小樽の焼肉屋で食べてました。あの山クラゲ、めちゃくちゃビールに合ったな。


前回と似た構成ですが、それでも良いと思えるほど素直に美味しい。アミューズに手が混んでるのは流石です。

 

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続いてはアスパラガス。まず皿が優勝した力士が待つ盃ぐらいデカい。

 

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アップ。火の通りが完璧。野草とその下に半熟卵もありますが、シンプルかつ正統的で素直に美味しかった。

 

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ペアリングですが、アルコールではなくお茶です。えーお茶かよ。美味しいけどお茶です。お酒が飲みたいんだけど。

ソムリエの方がアルコールが続くと疲れてしまうので、と仰っていましたがこれはどうなんでしょう。私みたいに良く飲む人には物足りなさだけが残ります。ペアリングが大変なのは分かりますがこれだけ予約も取れないぐらい盛況なのだからアルコールだけのペアリングを作るべきでは。どんだけ酔っ払ったって歩いて数十秒でベッドにゴロン出来るのがオーベルジュの利点なのにもったいない。

 

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さて戻ります。米粉のパン。このパンはめちゃくちゃ美味しいですね。バターも自家製なのかな。とても印象的でした。

 

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富山のワイナリー、ドメーヌボーのメルロー。これは全然ダメですね。まずワインが若過ぎて根本的に美味しくない。そして味で分かりますが安いワインです。更に1番がっかりなのがこの一杯でこの後2品分との事。美味しくなく、量も少ないのに2品をこれでやり過ごせというのは、流石にダメ。バッテンです。

 

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ツキノワグマに雲丹のソース。味わいとしては熊は赤身主体で美味しいものの、それなら牛肉で良いかなとも思ってしまいます。雲丹のソースは素直に美味しかったので、無理に熊肉を使った感がありました。

 

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続いてはタコに薪の香りをつけてほぼ生で。中には吸盤も。ソースにトマトとガーリックの香りがついていて思いの外分かりやすい味わいです。ただ致命的にワインと合わない。誰だこんなペアリング考えたのは。

 

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次は富山のお酒、萬寿泉を白ワインの樽につけたもの。田がわでも似たようなやつ飲んだので萬寿泉はこういうの好きなんでしょう。これ自体は凄く美味しいのですが、これ一杯で次の3皿ですって。こういうブレーキのかけられ方も珍しい。これじゃ少ないよねと目を見合わす。

 

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ホタルイカ。これもガーリックが効いていて思いの外分かりやすい。しかしさっきのタコと味の方向性が似ていて変化がありません。

 

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天然酵母のパン。パンは本当に美味しい。

 

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バイ貝。臭みもなく美味しいのですが、こんなもんかというレベル。バイ貝の限界を感じるような料理でした。

 

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素麺。ヤギのチーズのスープにフキのオイルが入っています。前回もそうでしたが、これはめたんこ美味しいですねえ。はっきりとしたチーズの塩気とヤギのクセのある香りにフキのオイルがいい意味で中和しています。しかしながら前回より皿が一回り小さくなった気がするのは気のせいでしょうか。それにペアリングもあの時みたいに貴腐ワインの方があってたな。

 

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続いてくるスペシャリテレヴォ鳥の前にはビールです。いや、確かに美味いし合うんだけど、量が少ないし、13000円のペアリングの一杯でこれとは。一口で終わりました。嗚呼無常。

 

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レヴォ鳥。鳥の中に餅米やら胸肉やら。熱々で頬張る食べさせ方も良い。もう少し大きいと嬉しいんだけど。それにビールが一瞬で消えたので余韻も無い。

 

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セイズファームのカベルネ。特定の樽のものをシェフが選んだらしいです。普通に美味いですが普通に買えるしなあ。あと日本のカベルネはやっぱりナパとかボルドーに比べると厳しい。

 

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オコゼにレタスのピューレ。凡庸。あと微妙に温度が温いのが気になりました。

 

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バゲット。やはり美味い。パン屋やったらええんちゃうかな。

 

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セイズファームのシャルドネ。通常の倍の24ヶ月寝かせたそう。なるほど確かに美味しい。でも少ない。

 

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メインは猪。急にドストレートなフレンチです。この猪はクリアーで臭みもなく食べやすいですねえ。ソースも真っ当。やっぱり私はこういうクラシックなフレンチが好きだな。しかし何故これにシャルドネなのか。

 

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デザート前にはウイスキーをなんやかんで割って8%ぐらいにしたものだそうです。薄い、という印象しか残りませんでした。もはや全然酔っ出ないのでストレートで飲みたいぐらい。

 

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デザート。なんやこれ前よりむっちゃ美味しくなってるやんけ。モッツァレラ、トマト、イチゴという構成は前回と一緒ですが、その時よりイチゴが甘く全面に出ており、モッツァレラとトマトの酸味はアクセントと香りの役割。アリーニュに匹敵するぐらい美味しかった。

 

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またもや黒文字をなんやかんやしたもの。凄く甘い。蜜みたいな味です。私は好きですが連れは甘すぎと言っていました。

 

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ミニャルデーズも真っ当に美味しい。あとコーヒーがすごく香りが良かった。

 


という事で結論、もう一回行く事は無いですね。こちらのコンセプトは理解しますし、素晴らしい挑戦をされているとは思いますが、私にとってはここまで山奥に来てこれだけのお金を払って食べるのであれば、東京や大阪、名古屋で同じ値段出してフレンチを食べます。この値段帯ならもっと美味しいフレンチが食べれます。


シェフと私の好みが全然違うんでしょう。料理の方向性、ボリューム、アルコールの量や合わせ方、どれをとっても私の好みと違いました。私のようにはっきりとした味わいを好み、お腹いっぱいに食べて泥酔一歩手前まで飲みたい人には物足りなさがあり、トータルの満足度がどうしても低くなってしまいます。


料理自体は美味しく、地元の食材を使おうという試みも素晴らしいのですが、そこに囚われてしまっていると言うかもっと美味しく出来そうなのにとも思ってしまいました。あのメインの猪で分かりますが、普通にやればもっと美味しいのにと思ってしまいました。


アルコールに関しては更に囚われているというのが顕著で、ペアリングも微妙だし、割高感が非常に強かった。前のレヴォはマニアックというか変化球の連続だったので非常に印象的だったのですが、今回ははっきり言って全然ダメです。過去のペアリングで最下位。

アルコールにまで富山を拘るのがそもそも大変厳しいですし、量が少なすぎる。全体の品数が多いので抑え目でと仰っていましたが、ベロベロになってもすぐそこのベットにダイブ出来るのがオーベルジュの大きな利点の一つであり、そこにブレーキをかけられてる感じが拭えませんでした。これは意図的にそうしていたので、シェフはあんまり飲まないのかもしれません。その点も私とタイプが違う。

 


日本の食が目指す一つの形だというのは間違いありません。なるべく地元のものにこだわり、その土地のテロワールを感じる、その為にそこに足を運ぶ。これはレストランや食の未来です。それだけに値段が高すぎるのが気になりました。食の未来を作るという事はすなわち文化を創造する事であり、法外と言って良い値段では文化創造ではなく金持ちの娯楽にしかなりません。東京で味の分からない映え狙いの姉ちゃん達にはとりあえず雲丹と肉合わせとけ、というのとそんなに変わらない。それで良いなら良いけども、そうするとコンセプトと違う気がするんだけど。


お金持ちの人は珍しいもの見たさにどうぞ。私の様な社畜の方は身の丈に合わない寄附がしたければどうぞ。

 

 

レヴォ
0763-68-2115
富山県南砺市利賀村大勘場田島100
https://tabelog.com/toyama/A1605/A160502/16009727/