昨年4回来た熊本ですが、今年は初めて。と言っても4ヶ月ぶり。今回もお寿司です。
熊本市内の中心地にあるサクラマチクマモトという商業施設の裏にあるこちらにお邪魔しました。ビルの2階にあるのですが、1階には美容室と書いてある看板しか無く、ここで合ってるんかなと上がるとあります。看板出せば良いのに。
こちらのお店は天草のミシュラン一つ星、奴寿司の息子さん2人がやられているお店です。最近出来たばかりですが、巷では結構有名らしく、そこかしこで噂を聞いていました。何より奴寿司の系譜という事で期待とあんなに美味しいのは無理やろなあという不安が入り混じっての来店。
店内はめちゃオシャレです。内装のオシャレな寿司屋と言えば唐島や菊鮨がぱっと思いつくのですが、こちらは調理場が奥にあり客からは見えない仕様。その代わり島の様になったテーブルがコの字型のカウンター内にあり、そこで簡単な盛り付けをしています。最近のお店はオシャレやなあ。
ビールを頂きながらのトップバッターはまずは魚のアラで取った出汁。正にその通りの味わいであり臨戦態勢を整えます。
続いては島原の素麺とホワイトアスパラガス。素朴ながらアスパラの香りがアクセントになっていて美味しい。ただ少し物足りなさがあるのでもう一つ香りを加えても良かったかも知れません。
岩牡蠣を青海苔の衣で揚げ、肝とマヨネーズのソースをかけています。これをまずいという人はいないのではなかろうか。先程の料理と共に割とワインに合うお料理が続きます。
私は寿司屋では日本酒と決めているので日本酒をお任せで。田中六五です。メジャーですね。
クエと紫雲丹。クエがしみじみと美味しいですねえ。それだけに雲丹と合わせなくて単品で良かったかな。あそこみたいな真似はせんでよろし。またツメが少し強かった。
蛤と枝豆の茶碗蒸し風。うーん、蛤の香りが消えちゃってるのが勿体無い。味は良いのですが。
シャリの中に渡蟹の身と内子を混ぜたもの。これも折角の蟹の香りが消えちゃってます。香りを活かせて無いのですがそういう芸風なのかな。味は美味しい。
喉黒の焼き物。下に敷いたのは唐辛子の混ざった何かのソースです。これはむちゃんこ美味しいですね。喉黒の脂をピリッとした辛さでうまく中和しています。さっきから割と洋風な攻め方をしているので周りは私以外みんなワインを飲んでました。
喉黒が来たから日本酒追加。貴。まあ普通に美味しいかな。
さて握りに。の前にガリ。お、親父さんのガリと一緒だ。甘酢に漬けてあって生姜の香りが強い。このガリ好きなんだよなあ。
まずは天草の紫雲丹。うおー濃い。水分抜いてるんでしょう。痛烈な先制パンチ。
握りはご兄弟でカウンターを半分に分けて握っています。兄弟寿司そのもの。
シャリは温かく硬めの炊き具合。酢はあまり感じませんでした。この辺も奴寿司に少し似てます。
イカ。トロトロ。雲丹塩が良いですね。握りになって同じ芸風になってきたなあ。
金目鯛。さっぱりとした味わい。
イサキ。おお、美味しい。身の香りも良く、やっぱり天草は白身が美味しいと感じさせてくれます。
大トロは周りを少し炙ったもの。脂っこさが無いのは好みですがもう少し酸か鉄分を感じたかった。
鯵。柚子胡椒が潜んでいるのですがちょっと強過ぎて鯵本来の香りが無くなっています。カットが大きいのはグッド。
車海老。奴寿司と同じようにくるんでます。甘い。天草の車海老らしい甘さです。
クロムツ。ぬおー脂がすごい。炙った香りも良く、この日1番のネタでした。
太刀魚。これはまあまあかな。前日あら井で食べた太刀魚の方が美味しかった。
ネギトロ。ちょっとツメが強すぎ。
デザートはメロンのアイスクリーム。うわ、めちゃ美味しいぞこれ。メロンの香りが抜群で濃厚。デザートワインが飲みたくなりました。
以上、ビール一杯、日本酒2合で16000円ちょっと。やっす。この味、この雰囲気でこの値段ですよ。東京で寿司食べるのはもはや狂気の沙汰としか思えない程安い。流石熊本です。
美味しいお店であることは間違いありません。しかもコスパも素晴らしいしオシャレ。東京で寿司を食べてる人からすれば感動的なほど安く、それでいて同等かそれ以上のお寿司が頂けます。
けれど奴寿司で感動すら覚えた身としては物足りないのも事実。最近の店らしく一切スタート、ネタも少し客ウケを狙ってる感があり、洗練されていて雰囲気は良いんだけど、じゃあ他店と何が違うのかと言われると分からない。勿論安いというのがありますが、熊本はこの価格帯の店がごまんと有り、その中でも少し没個性気味です。これならやっぱり私はなかむらの方が断然好き。
多分お二人は色々と思う事があってこういった形態にしてるのでしょうが、私の様な奴寿司ファンは期待値が高い分、こんな感じかあという拍子抜け感が否めない。そうやって比べられるのも嫌なのかも知れませんが。難しいですね、偉大な親父を持つと言う事は。
サービスは全く問題無いのですがテンポが少し悪かったのが気になります。きっちり2時間で終わったので別に特段悪いというわけでは無いのですが、ちょっと間延びした印象を受けました。この辺はお若いのでこれから改善といった所でしょうか。
日本酒のラインナップにしても偶々かも知れませんが有名どころと言った感じ。全体的にワインの方が合いそうな芸風です。ワインは小布施を出したりしてましたが、割とオーソドックスそうな感じでした。
こちらのお店は熊本でお寿司を食べた事のない熊本初心者にオススメです。特に都内や大阪、福岡など都市圏からのビギナーには間違い無く刺さる。だって店のあるビルが綺麗だし、店内も洗練されてるし、有名どころの日本酒もあるし、何たって都市圏の半額という安さ。一発で気に入るでしょう。大体仙八に行かれると思いますが、あちらはここよりちょっと高く(とは言え充分安い)、雑居ビル感が少しあるので、洒落た女子と行くならむら上です。
私ももはや老害かと思える何様っぷりですが、これからの熊本、いや九州の寿司界を牽引していく存在には間違い無い。これからどういった寿司屋になるのか、また数年後にお邪魔してみたいと思います。御馳走様でした。
むら上
096-288-5210
熊本県熊本市中央区桜町5-17 SAKURA TERRACE 2F
https://tabelog.com/kumamoto/A4301/A430101/43014482/