愛知県強化月間継続中。と言う事で今回はこちらにお邪魔しました。久屋大通のテレビ塔のすぐ近くにあります。ミシュラン一つ星。
細長いアプローチを抜けると暗い照明のお部屋が。テーブルが4つほど、また個室もある様です。かっちょいい。背筋が伸びます。
メニューは素材だけ書く系です。見てるだけで美味しそう。
ドリンクはペアリングで。飲むペースに合わせてお出し頂きます。まずはフランチャコルタから。酸がはっきりして美味しい。
卓上にはグリッシーニがセット。塩気はありませんが、小麦の香りが強く美味しい。腹減ったなあ。
トップバッターは玉葱のスープ。中には牡蠣がゴロゴロと入っています。スープは粘度が高く、濃厚で甘味が強いですが、玉葱本来の甘さであり嫌らしさはありません。牡蠣は燻してあるのか香りが良く、個体も大きく食べ応え有り。何より玉ねぎの甘さと牡蠣のミルクが調和してますねえ。良い滑り出しです。
フォカッチャ。流石に美味い。これも玉ねぎの甘さが効いています。こういう所に手を抜かないから星取れるんだよな。
ホワイトアスパラガスを土台に帆立とキャビアが鎮座。ホワイトアスパラガスの苦味、帆立の甘味、キャビアの塩気とそれぞれはっきり。ただ調和と言う点ではどうでしょうか。別々の方が美味しい気がしました。また自家製マヨネーズがホワイトビネガーの香りが強く個人的には苦手でした。
早速写真を失念してしまいましたが、テルラーノの白。シャルドネ、ソーヴィニヨンブラン等等。香りはソーヴィニヨンブランですがシャルドネの酸をはっきりと感じます。美味しい。
バゲットはさつまいも。ほんの少しだけ甘さを感じます。
ブルターニュのオマール海老とリコッタチーズを詰めたパスタ、ソースはアメリケーヌとスパイスオイルにエピパウダー。もう聞いた感じから美味しいですが、食べてもやはり美味しい。オマール海老の味が濃く、リコッタとの相性も良いですが、ここはスパイスオイルのアクセントが秀逸。これだけで凡庸な皿から見事に昇華していきました。
こちらにはヴェネト州のガルガーネガを使ったオレンジワイン。うわーこのオレンジワイン美味しい。香りがエレガントで、まろやかなのにはっきりという感覚。オレンジワインってマリアージュ前提で単体で飲むと微妙なものが多い中でこれは単体でも充分に張れるものでした。
アンティパスト3品目。フォアグラに蕪のソースです。焼かれた蕪もあるのですが、香ばしく苦味も鮮烈。フォアグラのモッタリ感といいバランスです。しかしアンティパストだからかポーションが少ない。フォアグラのこのボリュームならもっとフォアグラの脂を全面に出しても良かったかな。
ヴェネトの赤は3種のブレンド。カベルネの若い香りですが、タンニンはそれほど感じません。ノーマル。
クエのポワレと唐墨、空豆。なるほど、この料理は唐墨である。唐墨の香りと塩気が良いのですが、故にクエや空豆の必要性を感じませんでした。ただ単純に唐墨が美味しい。
サルデーニャのワイン。香りはシェリーで味は梅酒。なんか不思議。でも唐墨と言ったらサルデーニャだもんな。
パンはお代わりももらえます。玉葱のフォカッチャが美味しくてパクパクいってしまいます。この後もおかわりして計3つ食べました。育ち盛りです。
雲丹となめこのパスタ。なめこと紫蘇の葉がいい塩梅。しかし雲丹はそれほど要らないかなあ。基本となる味わいが素朴なようで洗練されていて、キノコによくあいます。もっと食べたい。
南イタリアのつまさきの方のワイン。ロゼみたいな色で香りもロゼのようなイチゴキャンディー感。でも味は悪くないですね。パスタとも合います。
メインは牛肉と椎茸に黒トリュフを。牛肉は脂が多いですがしつこくなく、椎茸も香りが素晴らしい。ソースも真っ当。さっきから思ってるんですがどこかフレンチ的なんですよね。しかしポーションがこれも小さいなあ。
ワインはプーリア州の5種のブレンド。サンジョベーゼとかモンテプルチアーノとか。濃厚なタンニン、樽の香りがしっかりして微かな熟成感。すごく美味しい。ここのソムリエやりよるな。
デザートは金柑、シャーベット、ヨーグルト。金柑の苦味、酸味とバランスが良い。でもやっぱりボリュームが少ない。もっとバクバク食べたかった。
ダブルのエスプレッソと茶菓子で御馳走様でした。
お会計は25000円弱。コース12000円に、デギュスタシオンとして6杯頂いて7000円に、フランチャコルタが1500円でした。一杯の量は控え目ですが、お値段的にはこんなもんと言う所でしょうか。
間違いなく美味しいのですが、もう少し盛り上がっても良かったかなあというのが最初の印象です。食材は豪華なのですが、あまり必然性を感じないものが散見されたのも事実。パスタに代表される様に素朴な食材でもすごく美味しい物を作れるので、あえて豪華食材を使わなくても良いのではと感じました。その点、やはりウシマルは素晴らしかった。
どこかイタリアンというよりはフレンチや和食のニュアンスを感じました。またボリューム控えめであり、パンでお腹を満たした感がありました。私が馬鹿の大食いなのかもしれませんし、客層的にこれ以上のボリュームはそぐわないかも知れませんが、パスタの量ぐらいお好み聞いて欲しかったかなあというのが感想です。
ワインは印象的。この日のメニューを見る限り、中々にソムリエ泣かせなメニューだと思いますが、しっかり合わせて来ました。白、赤ではなく、オレンジワインやシェリーっぽいものまでバリエーションも豊富、かつ単一品種があまり無いのも珍しかった。その上全部ちゃんと美味しいし、マリアージュを感じました。こういうのがソムリエって言うんだよな。
こちらに伺って私はリストランテよりトラットリアみたいな方がイタリアンとして食べるには好きなのかも知れないと思うようになりました。私は幼少期に家族で家の近くの個人経営のイタリアンで、前菜からピザからパスタからデザートまでアホみたいな量を凄まじいスピードで食べていたのですが、その様な原体験があるからかイタリアンとはどこかそう言うものという意識があるのかも知れません。
とは言え流石星付きというサービス、食事であり、その点不満はありません。記念日にカップルやご夫婦で伺うにはぴったり。御馳走様でした。
セッタンタ
052-228-7036
愛知県名古屋市東区泉1-15-23 1F
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