サイゼリヤからロブションまで

サイゼリヤの様な格安店からロブションの様なミシュラン三つ星店まで。東京はもちろん地方の小都市のお店まで。日本国内はもちろん海外まで。幅広く伺ったお店を紹介しています。

てんぷら 成生-新静岡

また成生です。昨年秋に2回伺った以来。相変わらず行いが良い私に神様は優しい。このお店を予約出来た瞬間から行くまでワクワクが続きます。小学校の遠足の様に前日の夜なんかはソワソワして眠れません。

 

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ビールを飲みながらのトップバッターは新わかめ。出汁に入れただけとの事ですが、まず出汁がそもそも美味しい。わかめの海の香りとサクサクとした食感も今後に期待を持たせてくれます。

 

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クエ。いつも通り極低温の脂で通してから頂きます。仄かに温かく、身の弾力は強く、咀嚼の度に旨味が出てきます。脂がものすごい乗っているという訳では無い故に、余計に白身としての旨さを感じます。

 

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続いての刺身は御前崎の平目。7kgとかいう怪物クラスです。まずカットが大きく、食べ応えがマックスで、何より信じ難い程の旨味の強さ。なんなんやこれは。奥は縁側を脂通しして炙ったもの。縁側って割と下品な脂になりがちなのですが、気品する感じる脂の香りでこちらも旨味がエグい。今まで頂いた平目の中でダントツです。


いつもは日本酒にするのですが、今回は来る前からワインで通そうと決めていたのでソムリエールにお任せします。まずはサンセール。よく見るセバスチャンフォーです。2018年。サンセールらしくすっきりとして余韻が綺麗。こういうエレガントなワインが私は好きなのです。

 

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さて、天ぷらに。まずはお馴染み太刀魚。今回は紫蘇と一緒に揚げられています。これこれ、この香り。そして身がホクホクで柔らかい。紫蘇の香りも強すぎずいい。いつも食べていて、いつも覚えているのに、やっぱり来る度に美味しいなあと心の底から幸せの溜息が出ます。

 

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ブロッコリー。なんやこれ。口に入れた瞬間の香り、咀嚼すると溢れる仄かな苦味、そして軽さ。パーフェクト。ブロッコリーってこんな美味しくなるんだと野菜としての可能性を感じる程のものでした。

 

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きたー蓮根。噛んだ瞬間はじゃがいもの様な香りなのですが、微かに糸をひき、徐々に蓮根の味が出てきます。いい意味で土臭く、食欲がそそられる。もっともっと。


気付くと全員のお客さんがじーっと大将の揚げる姿を見てます。そう、次来る食材が何か気になってしょうがない。そして早く食べたい。そんな一体感が小さな店内に充満しています。

 

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4番ファースト、キス。饒舌に尽くし難いほど美味い。口に入れた瞬間の香り、咀嚼すると溢れ出る旨味、そして脂の軽い余韻。キスって必ず天ぷら屋で出てきますがここのキスより美味しいキスを食べた事がありません。


プィイフュメ。キスにはブルゴーニュですよね。樽の香りがしっかりしながら柔らかく、なるほどキスにドンピシャです。外人にこの組み合わせさせたら卒倒するんじゃなかろうか。

 

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アオリイカ。サックリなのにネットリという相反する食感と甘さ。仄かな甘さにこのイカ本来の味わいを感じます。

 

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こちらはごぼうスニッカーズ級の特大サイズです。箸で持って口に入れる直前から土の香りが漂い、口の中に入れている間ずっーとごぼうの幸せな香りが充満。さっきから幸せの溜息出ちゃって止まらないんですけど。

 

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人参。なんやこれ。笑っちゃうぐらい甘い。しかも中がほぼ液体になっています。お客さんみんなが「これ人参?」と顔を見合わせる程。天ぷらとは揚げているだけではなく蒸しているという言葉を体現する様な天ぷらでした。

 

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出ました、白甘鯛。ふわっとした香り、パリパリの皮目の食感、確かな旨味。ここに来ると鯛って縁起物だけでなくちゃんと美味しいものだという事を思い知らされます。


私の飲むペースが少し早かったのかワインを飲み干してしまいどうしようかと考えていると、ソムリエールが次は蛤が来るからとムルソーを少しだけ頂きました。ああ、官能的な香り。バターのニュアンス。強烈かつエレガントな余韻。ノックアウト。

 

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果たして駿河湾の蛤。見ての通り中は生です。なんとジューシーなのか。蛤の香りが柔らかく、永遠に咀嚼したくなります。ムルソーともぴったりすぎて、もはやこの蛤だけで2-3杯空けられそうです。

 

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サラダには蛸が入っています。全てがフレッシュで濃い。私は野菜と言えば夏の北海道が至高と考えていますが負けずとも劣らないフレッシュさでした。冬の静岡でこれだから凄い。


次に合わせてシチリアのオレンジワイン。薬草の様な香りとベリーの柔らかなニュアンスです。不思議。

 

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小鯵。その小さい身に凝縮された味の濃さといったら。個人的には以前も頂いた分厚い半生の天ぷらが好きなのですが、こちらも甲乙つけがたい。オレンジワインも単体だと微妙ですが、合わせるとぐっと良くなりました。

 

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こちらは白魚を紫蘇で巻いたもの。何でも大井川河口で白魚が取れるそうです。また詳しくなってしまった。白魚らしい柔らかで甘い香り。同じ油で揚げているはずなのに何故次から次へと違う香りのものが出てくるのか。

 

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来ました、サツマイモ。早く食べたくてブレブレです。もう甘い。とにかく甘い。それも砂糖のような甘さではなくさつまいも本来の甘味です。なんなんだろう。どうしたらこんなに甘くなるんだろう。

 

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やっと君が来たね。エース、メゴチです。ああ、この香りを嗅ぐ度にメゴチが好きになる。メゴチの香りというアロマがあったら欲しい。いや、お腹が鳴って辛いかもしれないのでやっぱ無し。


ローヌのロゼを。ロゼにしてはもったりとしており、なるほど終盤にロゼを持ってきた意味が分かります。

 

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これ新玉ねぎなんです。うがーむちゃんこ美味しい。玉ねぎの香ばしさ、そしてこれ以上無い甘さ、液体化した身。全てが完璧。玉ねぎの天ぷらでフライドオニオンを想像した貴方、これは全くの別物です。100倍は美味しい。

 

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なんと白甘鯛再び。こんな高級で美味しいものがまた出てくるなんて。まるで星野監督の様な采配です。こちらは白甘鯛の骨で取った出汁に入れて頂きます。先程とは個体が違うらしく、旨味の凝縮感がまるで違います。香りも濃く、一口に白甘鯛と言ってもこんなに違うのかと衝撃的でした。

 

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まだ終わりません。赤座海老。これでなんと半身というとんでもない特大サイズ。口に入れると海老の香りが爆発。少しかけられた味噌も強すぎず良いアクセント。私はカセントで食べた赤座海老がトップオブシュリンプだと思っていたのですが、この瞬間並びました。

 

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ご飯物にいく前の最後はカサゴ。大将が自ら言う通り、身がふわふわに膨らんでいます。そして食感もまさにそれであり、羽毛布団の様。そして口に入れた香り、味。絶品とはこのこと。これまで散々美味しいもの食べてかなりお腹いっぱいなのですが、死ぬほど美味い。なんなら1番美味しい。

 

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さあフィナーレへ。今回は天茶にしました。これまで天バラ、天丼は頂きましたが、これが一番美味しいかも知れません。何と軽いのか。そしてお茶の香りが良い。あと5杯は食べれます。お腹いっぱいだけど。


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漬物もホッとする美味しさ。しかしほんと手抜かないな。

 

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お茶が美味い。水出しは余韻に柑橘の香りがします。最後まで地元推しを貫く所が良いですね。

 

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続いてお湯出しはまろやかな苦味。こうしていつまでもお茶を飲んでこの店に居座りたい。

 

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レモン。これがうんまい。酸味がはっきりしますが余韻がまろやかであり、みかんの酸味が強いものみたいですが、すごくさっぱりします。

 

以上、散々食べて飲んで3万ちょっと。こんな美味しいものがこの値段だもんなあ。もう他の天ぷら屋で食べても満足出来ない体になってしまいました。

 

 

過去2回を上回る素晴らしい食事でした。凄すぎるんですよね。何から何まで果てしなく美味しい。香り、食感、旨味、何から何まで高い期待をゆうに超えてきます。もう他の店と全然レベルが違う。


いつも魚がとにかく美味しいのですが、今回に関しては野菜も素晴らしかった。いや、いつも美味しいのですが、今回は意外性というか予想を超えるものが多かった印象です。何故あんなにもブロッコリーは軽いのに鮮烈なのか、人参は何故あんなに甘くトロトロなのか、さつまいもに至っては砂糖を使うより甘い、なのにいつまでも食べれる。どんな魔法を使ってるんでしょうか。


このお店に来ると天ぷらという料理の奥深さを感じます。ただ油で揚げてるだけではない何かをしてるのだなと。毎回感動を覚えます。


にしても今回ボリュームが多くていつにも増して圧倒感がありました。でも、最後にカサゴが出た時、瞬間的にテンションが上がる。お腹いっぱいでお店を出たのに、静岡駅に着く頃にはもう食べたい。明日にでもまた来たい。そう思うのです。そんなのこの店ぐらいです。


感動。次はいつ来れるのだろう。指折り待つには辛いけど、その分行けた時嬉しい。永遠に届かないけど、ほんの瞬間手が届く様な、そんな幸せがここにはあります。

 

 

てんぷら 成生
054-273-0703
静岡県静岡市葵区鷹匠2-5-12 1F
https://tabelog.com/shizuoka/A2201/A220101/22015243/