サイゼリヤからロブションまで

サイゼリヤの様な格安店からロブションの様なミシュラン三つ星店まで。東京はもちろん地方の小都市のお店まで。日本国内はもちろん海外まで。幅広く伺ったお店を紹介しています。

villa del nido-雲仙市

長崎県島原半島の北側にあるこちらにお邪魔しました。ちなみにオールドサッカーファンには大変有名な国見高校が近くにあります。駅前のコンビニは国見高校生だらけでした。


超ローカルな駅から更に歩く事10分強。ミシュラン星付きの店が本当にこんな所にあるのかと不安になる程住宅と畑しかありません。街灯も当然にないので真っ暗。

 

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ある畑の横にそれらしき建物を発見。畑の中に似つかわしくない看板。同じ敷地内には母屋というか普通に家があります。恐らくこちらのオーナーの家なんでしょう。職住近接を地で行っています。


中は四角のテーブル席が3つ程と奥に丸い大きな円卓が一つ。私は1人だったのですが、その大きなテーブルに案内頂けました。


飲み物はペアリングを。5種、6種、8種とありそれぞれハーフもあるので飲める量に合わせてオーダー出来ます。私は当然に8種のノーマルでお願いしました。しこたま飲む為にこの田舎に泊まっているのです。

 

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まずはシャンパーニュから。ロースト香と微かにハチミツを感じます。大好きな香り。久々に美味しいシャンパーニュ飲んだなあ。

 

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メニューは素材だけ書く系です。紺のナプキンってあんまり見ないけどかっちょいい。

 

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まずはパンから。在来種の黒米と近くの湧水で作ったそうです。香りが良く米とは思えない程。良い意味で米粉のパンぽくなく美味しかった。

 

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アミューズは地元で取れた渡蟹で作ったカニカマに、国産ポルチーニのソースとフェンネルです。いきなりカニカマとは面白い。渡蟹ですのでそこまで主張は強くありませんが、ポルチーニの香りとフェンネルのアクセントがとても良いですね。泡にもぴったり。

 

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おお綺麗な見た目。こちらの胡瓜の下に地元でとれた平目があり、更にその下に玉葱と焼き茄子を胡麻油でマリネしたものが敷いてあります。黄色のソースは早取れの蜜柑のソースにフキのオイルがかけられています。

こうして書くと何がなんだか分かりませんが、中華です。胡麻油の香りとフキのオイルの香り、蜜柑の酸味に胡瓜がある事で、極めて上品な中華料理の様です。さっきのカニカマといい期待を良い意味で裏切ってきますねえ。

 

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こちらにはチリのシャルドネ。あまり聞きませんが微かな樽の香り、酸がしっかりで料理によく合います。良いチョイス。

 

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魚が続きます。こちらも地元で獲れた鯛をフリットにしたもの。下には鶴紫が敷いてあります。鯛のフリットは言わずもがなですが、鶴紫の苦味がとても良いですね。クミンのアクセントも効いていて、味にグラデーションを感じます。

 

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ドメーヌテッタのロゼ。微発泡のもの。鯛にはロゼ。2月の神戸でもこの合わせ方だったなあ。柔らかいロゼの香りが鯛には合いますね。

 

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なんじゃこら。こちらは牛肉を低温ローストしたもので、中には魚醤につけた卵黄、ソースはじゃがいもとあおさです。これはあおさの香りが鮮烈。一方魚醤感はそれほど無く少し後退。もっと肉肉しくて良いかも。

 

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ブルゴーニュブラン。単体で飲むと美味しいのですがマリアージュとしては微妙でした。私は分かりやすいのが好きなのだ。

 

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地元国見の小麦と湧水で作ったフォカッチャが来ました。うわー小麦の味が濃い。これ単体でいくらでも食べれます。このキャパで自家製のパンってすげえな。

 

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こちらは何かの豆のソースの中に地元の最高級の素麺が入っています。これは見た目によらずはっきりとした味わい。素麺が美味しいなあ。

 

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こちらには日本酒。地元島原の吉田屋のひやおろし。あーこれは好きなやつです。香りが甘く味は辛口。素麺に合うなあ。

 

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これはスープ、ではなく雑炊です。じゃがいもを麹につけて半年寝かせたものをエスプーマに。中には海老も入ってます。なるほど単刀直入に美味しい。しっかりとしたじゃがいもと塩気。軽いビシソワーズの様ですが、レモングラスの香り更に軽やかさを与えています。

 

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こちらにはエミリアロマーニャのオレンジワイン。香りが強く癖があるのですが、雑炊の優しい味わいとレモングラスの香りがベストマッチ。今宵のマリアージュ賞です。

 

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ラビオリは豚肉と何かを混ぜたもの。豚肉がちゃんと豚肉しています。しかし少ない。もっと食べたい。丼で欲しい。

 

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チリのシラー主体。不思議な香り。聞けばシラーという気もしますがブラインドだと何か分かりません。もっと柔らかいワインでも良かったかな。

 

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メインはトモサンカク。脂と赤身のバランスが良くいくらでも食べれます。自家製のバターを添えたシンプルなソースも良く、ピーマンの苦味もアクセント。でもこれも少ないなあ。3倍ぐらいの量が欲しい。

 

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トスカーナの赤。品種は覚えてないけど美味しかった事は覚えています。ていうかそれって要は覚えてないのでは。

 

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デザートはカボチャのムース。軽め。美味しいけどこれも軽いなあ。バケツで欲しいです。

 

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コーヒーは雲南省のプーアール茶と同じ二次発酵させたもの。なるほど紅茶とコーヒーの中間でさっぱり。御馳走様でした。


以上、コース11000円にペアリング9900円の20900円でした。流石にお安いですね。

 

 

店の雰囲気、シェフや奥様の雰囲気のままの料理でした。イノベーティブっぽく、フレンチやイタリアンをベースにしながら色々なエッセンスを取り入れているのですが、根底的には優しい味わいのものが多く、食べていて全く疲れることがありませんでした。


ワインも高いものでは無くともちゃんと美味しいものばかり。このキャパ、立地でペアリングはかなり挑戦的だと思うのですが、ちゃんとしたものでした。


一方ちょっと輪郭がぼやけているというか主旨が不明瞭になっている料理が多かった気がします。これは私がバカ舌の大食いだからかも知れませんが、全体的にボリュームが控えめであり、成人男性だと少し物足りないかも知れません。また色々な食材を面白く合わせているのは良い試みなのですが、何を食べてるか分かりづらいのも少し私の好みとは違いました。


とは言え、シェフと奥様の接客はとても温かく、心からリラックス出来る時間でした。食事の出てくるペースも早過ぎず遅過ぎず、ゆっくりワインを飲みながら、心の糸が解けていく様な感覚でした。1人でこの様なしっかりしたレストランに来ているのにこれだけリラックス出来るのはお二人の空気感の為せる技と言っても過言ではありません。

 

 


お会計を終えてお店を出ると、空には満点の星空が輝いていました。街灯が無いから本当に綺麗に見えるんですね。その時私は唐突に高校時代に友人達と見た、しし座流星群を思い出しました。夜中の小学校に忍び込んで、寒い中地べたに寝転がって一晩中本当に降る様に何度も光り輝く流れ星を見ました。その時私は高校生ながら「一生この流れ星を見た事を忘れないだろう」と思ったのです。

でもそれから19年間1度も思い出す事無く記憶の隅っこに追いやられていました。それが島原のこちらのお店で心からリラックス出来たおかげでしょうか、星空を見上げて、あー首が疲れるなあ、なんて思った瞬間に思い出したんですね。まるで奇跡の様でした。そこからはただ記憶の奔流に身を任せ散歩しながら歩いて帰りました。とても幸せだった。


私が言いたいのは、こちらのお店にはそう言った特別なものがあると思うという事です。心から温かなサービスを受け、美味しい食事とお酒を頂くことが出来たから、更にそれが人も歩いていない真っ暗な中にあるからこそ、この様な体験が出来たのだと思います。


あくまで個人的な経験ですが、この経験も合わせて私には特別なお店になりました。レストラン巡りをしているとこんなこともあるんだなあ。またいつかこちらに来て、帰りに満点の星空を見上げながら帰りたいと思います。御馳走様でした。

 

 

villa del nido
0957-73-9713
長崎県雲仙市国見町多比良甲313-2
https://tabelog.com/nagasaki/A4203/A420301/42009254/