アピシウス。30年以上にも渡って東京、いや日本のフレンチを牽引するグランメゾンです。
いつか行きたいと思いつつ、グランメゾンは特別な時に行きたいという思いもあり(というよりお金が無い)、1年に1度しか無い誕生日にこちらに伺う事に決めました。暑い中薄いジャケットを羽織り、革靴でこちらに向かうだけで暑さを忘れるほど心が躍ります。
地下へのアプローチ。光るアピシウスのフォント。ああ、やっと来れた。
アピシウスのお皿。どことなく貴賓を感じます。テンション上がりすぎかな。
この日はコースで。1番高いコースよりこちらの方がメニューが好みだったのでこちらに。
まずはシャンパーニュ。アンリオのミレジメ2008。身が引き締まります。
シャンパーニュに付属するオリーブ。このオリーブが美味しいというのは有名な話ですが、実際頂くとびっくりするぐらい美味しい。たかがオリーブなのですが、香りとそのベストな酸味と非の打ちどころがありません。あまりに美味しいのでパクパク食べてしまうとお代わりまで持ってきて頂けます。私の様な貧乏性はこの様なお店に行かないと思いますが、お腹が膨れるので注意しましょう。
アミューズは冷製ミネストローネと蟹のサラダ。ミネストローネの確かなトマトの酸味も良いですが、蟹のサラダと泡の相性が抜群。お腹減った。
パンは3種。右のパンがむっちゃ美味しかった。また当たり前の様にバターが美味しい。こういう所に抜かりが無いのがグランメゾンたる所以です。
フォアグラのテリーヌ。口溶けの滑らかは勿論の事、甘いジュレとブリオッシュとの相性が抜群。というかこのブリオッシュ自体が相当に美味しい。
こちらにはゲヴェルツラミトネール。王道の組み合わせです。ていうか割とドボドボ注いでくれます。この気前の良さよ。
コースには組み込まれていませんが、どうしても食べたかったので海亀のスープをアラカルトでオーダーしました。小笠原で獲れる海亀を特別にという事ですが、これが極上の味わい。海亀の何をどうしたらこんな出汁が出るのか分かりませんが、臭みなど一切無く、クリアーなのにひたすらに深みのある味わい。コンソメチックなのですが、どこかオリエンタルなニュアンスがあります。
こちらには必ず合わせるというアモンティリャードというシェリー酒。知識は乏しくバカ舌の私にはめちゃくちゃ美味しい紹興酒に感じました。どことなくオリエンタルな雰囲気の海亀のスープとばっちし。マリアージュってこういう事言うよな。
オマール海老のポワレにブールブランソース。見た目の時点で美味しい事が約束された王道のフレンチ。意外性は有りませんが、こういう真っ当なフレンチが食べたかった。
こちらにはこれも王道、モンラッシェ。穏やか、かつ豊かな樽の香り。静脈注射したいぐらいです。もはや麻薬的。
次はメインなのですが、来たるチーズの襲来に備え、赤はボトルで行く事に。とは言え私はそこらへんのリーマンなので安いボトルで。ジュヴレシャンベルタン。これでも私には勿体無い程、エレガンスな香り。充分です。
メインは仔羊をオーダー。こちらも見た目から王道のフレンチ。なんやかんやするモダンなフレンチも好きだし、ビストロ的な料理も好きだけど、やっぱり古典的なフレンチも好き。なんせアピシウスか北島亭にするか迷ったぐらいです。仔羊は柔らかく、ペリグーソースもばっちし。嗚呼、ワインと合う。美味いなあ。
メインは終わりましたが、これからが今宵の本番。チーズとデセールの出番です。これらを食べにここに来たと言っても過言ではありません。
チーズワゴンからあれこれと選ぶこと9種類。全然詳しく無いので名前は失念してしまいましたが、全て美味しい。こんなにチーズ好きなら勉強しないとあかんな。私は青カビ系が好きなので上二つがどタイプでした。赤ワインが鬼のスピードで無くなっていきます。
そしてチーズと共に出されるイチジクのドライフルーツがむちゃんこ美味しい。チーズの塩気との相性が抜群。イチジクもほぼ完食しました。これからデセール来るんやけど。
チーズとワインでお腹はパンパンになりつつありますが、デセールワゴンの登場。多分この時の私は幼稚園児がデパートのおもちゃ売り場行った時ぐらい輝いた目をしていたでしょう。
大変始末が悪いのは重々承知ながら、禁断の全部下さい、をお願いしました。御行儀悪いので真似しないで下さい。でも人生で1度やってみたかったんですごめんなさい。
果たして出てきたこのデセール達よ。今見返しても涎が出てくる。大変な量ではありますが、半分以上はアイスなのでいけちゃいます。何よりケーキが王道、かつそれぞれちゃんと素材の輪郭がはっきりしていて美味しかった。夢の様ですありがとうございました。ここで死んでも悔いは無い。
この後コーヒーとミニャルデーズも出てきたのですが、流石にここまで食べて飲んでで、ほぼノックアウト状態。気合でカヌレだけ食べました、2個。2個も食ったんかい。
という事で夢の様な時間でした。正に王道。煌びやかさには少し欠ける料理かも知れませんが、私はフレンチを食べに来たのだという強い満足感があります。ワインのセレクトからも王道のフレンチとはこういうものだと、胸を張れる料理の数々です。
サービスも勿論一流。私のデセール全部下さいにも笑顔で対応頂きました。皿の提供スピード、下げるタイミング、ワインの注ぐタイミングなど完璧。これぐらいやって頂けるなら気持ち良くサービス料お支払いするというものです。そこらへんの寿司屋でもサービス料取ったりしますが、本物のサービスというものを分かってんのか、ここに来て勉強せえと言いたい。
重厚長大なお店の雰囲気、抜かりないサービス、王道の味わい、全てが私が望んだ通りでした。その意味で期待を大きく超える事は無く、その点が少しロブションに劣りますが、もはや天井人同士の争いのレベル。私の様な社畜は年に1度、この様なお店でちゃんとしたお料理を頂ける事が何よりの楽しみです。
やっぱりこういうグランメゾンには夢がある。美味しかった。また1年健康に過ごして来年もしこたま食べて飲もう。御馳走様でした。
アピシウス
03-3214-1361
東京都千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館 B1F
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130102/13000145/