長かった北海道の旅も遂に最後の夜を迎えてしまいました。散々美味しいものを食べまくってハードルが上がりまくった私の最後の夜はこちらに。
中島公園の大通りから少し入った所にあるのですが、お店の前に着物を着た女性が待っておられ、店に入ると靴を脱ぎ、店内は桐箪笥があるなど和食の雰囲気。元々フレンチやってたシェフと聞いてたんですが思ってた雰囲気と全然違う。簡単に言うとむちゃんこおしゃれです。
ドリンクはお任せで。冒頭の女性はソムリエールな様で素直に下駄を預けます。シェフは皿数が多いから料理に合わせてというのは出来ないと仰っていましたが、結論から言うと素晴らしいペアリングでした。
まずは泡。超ドライ。さあ食べるぞ。
トップバッターは余市の雲丹。毛蟹の出汁に漬けてあるとの事。のっけから完全に和食やんと突っ込みたくなる。塩気がはっきりしており美味。
海老は余市のウイスキーに着けて。その名の通りねっとりとした海老の旨味とウイスキーの香りがマッチ。言い方変ですが塩辛く無い塩辛みたいです。
秒で泡を飲んだので次をお願いするとラングドックの白を頂けました。不思議な味わいでありビオっぽい味わい。これ以上の表現はボキャブラリー不足の私には不可能な味わいです。要は美味い。
函館のヤリイカの塩辛。良い意味で塩辛っぽい匂いが薄く、ネギのアクセントも良いですね。さっきから日本酒飲みたくなるな。
こちらはニシンの刺身を余市のトマトのピューレでマリネしたもの。これはトマトが先ほど畑から持ってきたぐらい新鮮で力強い。ニシンの香りとトマトもよく合います。
続いての白は南アのシュナンブラン。こちらもビオ。シュナンブランらしい味わい。
カレイの刺身。これすんごい肉厚なカットなんです。これは柑橘系のタレにつけて。脂がこれでもかと乗ってます。北海道滞在中散々カレイ食べましたが脂のノリという意味ではNo.1でした。
つぶ貝。見た目は完全にマンゴーですが、桃に肝ソースを合わせたもの。少しづつフレンチっぽい合わせ方になってきました。貴方の想像通りワインにピッタンコです。
こちらはヒメマスにわらびのソース、パルミジャーノチーズをかけています。ヒメマスの淡白な味わいをチーズが上手く補完しています。
ブリの酢漬けをスモークしたもの。これも日本酒飲みたくなるなあ。というかさっきから小皿が凄い勢いで出てくるのですが一体何皿あるのでしょうか。
こちらはスペインの白。品種は分からないのですがこれも料理に合い素直に美味しい。
一転シンプルなイワシ。脂が乗っており寿司屋で食べるネタより美味しい。それにさっきからワインとぴったりなんですけど。
茶碗蒸しは花咲蟹。これすんごい身がゴロゴロと入ってます。さっきから厚切りだしゴロゴロだし気前がとんでもなく良い。
水茄子でお口直し。さっぱり。水茄子って美味しいなあ。
おー美味しそうと思わず声に出てしまいそうな見た目。帆立に、松の実、トマト、オリーブオイルでしょうか。その通りやもするとイタリアン的な味わい。というかイタリアンでも中々これ程のものは頂けません。
フランスのシャルドネが来ました。これはバニラ香がすんごいです。あかん、ワインも美味すぎる。
ここで雲丹の手打ちそばが出てきました。そばのコシが強く、かつ雲丹がこれでもかとかかっています。ちなみに神田の蕎麦屋なら一人前ぐらいの量があります。
蕎麦も出たし、そろそろ終わりかなあと思っていましたが、ここでまた小皿に戻りました。鮪の赤身です。これをトリュフと卵黄、じゃがいものピューレ?と混ぜて頂きます。もう何料理かわかりませんが、濃厚なソースがさっぱりとした赤身を補完しつつ、鮪の鉄分は感じられます。欧米人なら拍手喝采しそう。
しかも残ったソースは酢飯で頂きます。何回目かの何屋だよ。
ご飯ものが終わったにも関わらず、目の前で豪快にわら焼きにしてるなあと思ったら時知らずでした。わら焼きを冷やして頂きます。素材そのものの味わいに藁の香り。たまらん。
ここからサンセールのオレンジワイン。わら焼きにオレンジワインは素晴らしいアイディアですね。ソムリエールの女性は若く、ゆるふわな雰囲気なのですが相当の手練の様です。
鮎を揚げたものをふきのソースで。これは食べる前からオレンジワインと合うのが分かりますね。先日伺ったワインのばかでも同じ合わせ方をしていました。鮎にはオレンジワイン。この夏また一つ大人になりました。
何この鮮やかな見た目。花ズッキーニの天ぷらなのですが、中には花咲蟹の入ったご飯が入っています。要はカニクリームコロッケです。蟹が蟹しててむちゃんこ美味しい。
しかし何皿出るのか。いい加減お腹がいっぱいになってきましたが料理の出てくるペースが落ちません。私も段々ガードが下がって来ました。
ここでパテドアンクルート。不意打ち。鴨やら豚やらが入っており真っ当なフレンチの味わい。赤ワインが飲みたいよお。
という事で赤ワインを飲んだはずですが撮り忘れました。酔って来たのとお腹いっぱいなせいです。いつも通りポンコツな私。
見て下さい、この料理風景だけでテンション爆上げ。ていうか5人前でこの量かよ最高じゃん。
雲丹、キンキ、紫蘇、胡麻が入ったご飯を混ぜ混ぜにして。こんなん美味いに決まってるやんと紳助兄やんも泣き出しそう。にしてもなんぼほど雲丹を使うのか。キンキや雲丹の濃厚な味わいを紫蘇と胡麻で上手く中和させており、濃厚なのに箸が止まらない。ここまでこれでもかと食べているのに、この期に及んで箸が止まらないとは何事か。
毛蟹の出汁。箸休めかと思いきや、出て来た瞬間から香りが爆発。蟹よりも蟹です。北海道中の蟹が凝縮されてます。
メイン、というかもう何が何だか分かりませんが、ヒグマのローストです。微かにジビエらしい香りがしますが嫌な香りではありません。この期に及んでもしっかり食べれるほどさっぱりだけど旨味は強い。
最後に甘海老をふんだんに使った卵焼き。寿司屋かよ。お腹いっぱい過ぎてぶっ倒れそう。完全にノックアウトです参りました。
何料理か分からないと行く前にレビューを見ていましたが、本当に何料理か分かりませんでした。ベースは和食、というか寿司っぽいのですが、味付けはフレンチっぽいものからイタリアンっぽいものまであり、とにかく多彩。
そしてとにかく量が多い。多量多皿であり、写真では伝わらないかも知れませんが、一皿の量自体が他店より多く、また一つ一つカットも大きく、とにかく食べているという充実感が味わえます。18時に入店して退店したのは22時、この間ひたすら食べ続け飲み続けました。
私は普通の成人男性より食べれる方だという自負があったのですが、この日店内にいた20代と思わしき女性と70代過ぎの女性は私より食べていたのも印象的でした。このお店は本当に美味しい物が好きな人が来る店なんだなと思わされます。インスタ映え女子や、パパ活おっさん、有名店コレクターの港区女子などを寄せ付けない圧倒的な量と勢いです。お陰様で自分の食べる量に自信が無くなりました。こういう客のフィルターのかけ方もあるんだなあ。シェフ本人は意図していないと思いますが。
ソムリエールのワインのセレクトも素晴らしいですね。これだけの品数と多彩な料理をワイン縛りは相当に難しいのですが、マリアージュが素晴らしかった。しかも可愛い。最&高。
お会計は41000円強と決して安くはありませんが、来ればもはや割安だと分かります。あれだけの質の食材をこれでもかと頂けて、素晴らしいワインとの組み合わせは日本でもここでしか食べられないんじゃ無いでしょうか。
恐れ入りました。感服しました。多彩、多才とは正にこの事。北海道滞在中の10日間、散々色んなお店で色んな料理、特に美味しいお魚を頂きましたが、こちらが1番美味しかった。今のところ私の中の2020年No.1レストランです。
またよく食べる連れを連れてこちらに伺います。次は五十嵐シェフにもっと料理追加させるんだから。グルマンの桃源郷が此処にはあります。御馳走様でした。
霜止出苗
050-5456-3417
北海道札幌市中央区南9西4-5-12 カモカモビル1F
https://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010104/1061277/