前日の鮨いのに続いてこちらに。ミシュラン二つ星です。
見る見る減る預金残高に目を背け、今宵もお店の扉を開けます。
まずはビールで。
最初のつまみは虎河豚に白子で作ったソースがかけられたもの。さすがの虎河豚という弾力であり、白子のソースも濃厚で良い。結構のっけから攻めてきます。
続いて八幡浜の白甘鯛。皮目を焼いています。これを高知で作っているという特別な塩を付けて頂きます。
甘鯛の甘い香りが春を感じさせてくれますね。塩が柔らかく身の味を引き立ててくれます。最近食材で春を感じる事が多くなり嬉しい限り。
早くも日本酒へ。昨日も頂いた石鎚の純米吟醸。これほんと美味しいなあ。この後もう一回飲みました。
地物の鮑。6時間蒸したものとの事。肝ソースは酸味がありマヨネーズ?を混ぜているのでしょうか。鮑自体の味が濃く、何もつけなくても立派なつまみです。凝縮された海の味。
肝ソースは少し残しておいて下さいとの大将の話があり、なんだろうと思っていると、こちらに赤酢の酢飯を入れてくれました。思っている通りの味わいではありますが、こういったプレゼンテーションは嬉しい。私は単純な人間なのです。
鰆。炙ったもの。上には自家製の玉ねぎの醤油漬けが。更に自家製の辛子も添えられています。
これはもうこれらの薬味と鰆のバランスがパーフェクト。鰆は淡泊なのでお店によって色々な食べさせ方がありますが、最近ではこの食べさせ方が一番好きでした。
平貝。このわたが乗っています。これはちょっとこのわたに平貝が負けてしまっているか。平貝ってひっくり返るほど美味しいもの食べた事ないなあ。
握りに入る前に先ほどの白甘鯛で取った出汁のスープ。心からほっとする味。いい切り替えになります。
さて、握りの最初はヨリ海老という通常出回らない海老だそうです。味わいはまあ普通の海老です。
個人的冬のエースピッチャー、皮剥。身とシャリの間に肝を挟むのは珍しい。シャリの酸味と肝がベストマッチ。皮剥が食べられるのもあと少し。そう思うと少しまだ冬が恋しい。
鰤。二週間寝かせたそうです。これはシャリの強い酸味にネタの味が消えてしまってますね。折角の鰤が残念。
この鰤が分岐点でした。ここから次々とネタが続きますが、全ての感想が「シャリの酸味が強過ぎる」でした。一度気になってしまったら最後、全てがシャリの赤酢に負けてしまいます。鮪などはネタ自体が強いので多少香りを感じる事は出来ましたが、全て同じ味に思えてしまいます。渡蟹と穴子以外は印象にありません。
写真だけは撮ったので置いておきます。
正直がっかりしました。私自身酸っぱいものは大好きと言っていい人間ですし、江戸前寿司でもはっきりとしたシャリは好きなのですが、こちらは如何せん強過ぎて魚の香りが飛んでしまっています。つまみは美味しかっただけに握りに入ってからどんどんテンションが下がってしまいました。
こうなると人間ダメで、隣のおじさんが美味い美味いと言っているのすら一々癇に障ってきてしまう始末。こんだけ酢の強いシャリでネタの味分からんだろと突っ込みたい。昨日の客層は悪かったけど、味がどうこうというのが無い分そちらの方が良かったかも知れない、そんなことまで思いました。
恐らく先代と思われるご年配の大将の接客は柔らかく心地の良い素晴らしい接客でした。昔から確りとした寿司屋をやってきた、そんな雰囲気がありました。一方、その息子さんと思わしき方が握りをやっていましたが、本当にこれで良いのかなあ。接客も丁寧だし、寿司が好きなのも伝わってくるのですが、客の目の前で親父さんをあまりぞんざいに扱うのは気持ちの良いものではありません。
そういったなんやかんやもあって、かなり物足りない食事となってしまいました。接客や客層はまだしもやはりシャリの酸味が強すぎる、そこに尽きます。
まだ若い息子さんが勉強熱心なのは伝わってきたので今後の更なる成長を祈念します。
くるますし
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愛媛県松山市一番町1-6-9
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