カセント。今回の年末旅行のハイライトと言って間違い無いでしょう。ミシュラン三つ星です。
飲み物は8種のペアリングをお願いしました。
まずはピノノワール100%のシャンパーニュで乾杯です。色は綺麗なゴールドで華やかな始まりです。
本日のメニュー。素材だけ書く系です。
トップバッターは高坂鶏のコンソメ。大和芋のつくねと黒トリュフが入っています。
見た目通りクリアーな味わい。もう少しコンソメが強いとトリュフの香りにも負けないのかも知れませんが、トップバッターとしてはこれぐらいの方が良いのかも知れません。
赤座海老。アーモンドのガスパチョをかけて頂きます。
見た目がもう美しい。出てきた瞬間に拍手喝采です。食べるのが勿体無いですが一口。
う、美味すぎる… ほんの少しだけ火を入れられた海老は香りと旨味が最大限まで引き出されています。冗談ではなく普通の海老の5倍は濃い。今まで食べた海老の中で断トツに1番美味しい海老です。
2皿目ですが、この店はとんでもないかも知れないと連れと顔を見合わせます。そしてその予感は一皿毎に確信に変わっていきます。
続いてはsmall plates。一口サイズの料理が幾つか出てくると思っていましたが、普通に一品料理級の料理が次々と。
カツオにピリ辛のムースを敷いたもの。(この下に隠れてます)
明石の鯛
アンチョビ
コハダ
サバ
これらにブーダンノワールに米粉をつけたフリットも出てきます。
何これ量がめちゃ多いやんけ!子供みたいな感想しか出ません。美味しいものをお腹いっぱい食べれるなんて夢みたいです。
サバは締め鯖の様で、コハダ、アンチョビと共に酸味が効いています。サバとコハダはもはや和食ですね。カツオは下のムースがめちゃんこ美味しく、カツオ自体の鉄分もそれに負けない力強さ。鯛は真冬の明石海峡で揉まれまくったんだろうなという弾力。ブーダンノワールは臭みなど微塵もなく米粉と合わさって軽い食感。全部すんごい美味しいよう。
こちらには南アのシラー(上記写真)とニュージーランドかどこかの白(写真撮れなかった)だったかと思います。何もニューワールド系のワイン。この後もニューワールド系が多いですがどれもきちんと料理とのマリアージュを考えた素晴らしいチョイスでした。
このタイミングでパンも。柔らかな甘味のパンで普通に美味しい。料理に比べて目立たないですがこれぐらいで良いでしょう。
3皿目で既に結構な満足感ですが、まだまだこれからです。まさに望む所。
低温調理のフォアグラ、発酵バター、ポートワインのジュレを挟んだもの。
フォアグラが全くしつこく無く軽く、バターの香りがとにかく高い。そしてポートワインの甘さと合わさってこれも悶絶もの。
こちらにはスペインの白。スペインらしく爽やかな風味でした。
お野菜は葉物野菜だけかと思いきや
下には温野菜がゴロゴロと結構な量が入っています。こちらにはホエーソースをかけて頂きます。
野菜が新鮮で心から美味しいですね。今年の夏は北海道でこれでもかと美味しい野菜を頂きましたが、まさか冬の神戸で同レベルの野菜を頂けるとは。量もたっぷりあり、食べ応えは慎ましい丸の内OLのサラダランチぐらいの量があります。
白眉はホエーソース。仄かな発酵の香りに穏やかな酸味が野菜の味を邪魔せずそれでいてはっきりとした味わいです。温野菜と合わさってか不思議と優しいスープカレーの様な、ナンプラーの様な味わい。他には無いという点でとても印象に残りました。ほんと何でも美味いな、ここ。
こちらにはオーストラリアのシャルドネ。2018年と正に若くフレッシュ。とはいえしっかりとしたシャルドネの美味しさが濃く個人的にはとても好きなワインでした。
次の料理に行く前にお手洗い等に行くか聞かれます。何でも次の鰆の焼き上がりに合わせるためにお手洗いに行くのであればそれに合わせるとの事。
果たして出てきた鰆は芸術品の如き火入れ。ほんとどの料理も見た目がとても美しくテンション上がります。三つ星に来てるんだなって実感。
鰆もこんな味濃かったかなというぐらい半生の身が美味しい。皮目は香ばしく中は甘味と、白身の濃さのコントラストがはっきりしていて2つの異なる料理を食べているようです。連れは美味し過ぎてハゲそうと言ってました。
ワインはジョージアの白。こちらはあまり印象に残らず。料理が美味し過ぎますね。その意味では料理を邪魔せず合っていたのだと思います。
そろそろ最後が見えてきました。お肉は牛肉に原木椎茸のソテー、納豆のピューレも添えられています。
血の味の濃い真っ当な牛肉ですが、納豆のピューレが変化を加えており普通のメインと一線を画しています。納豆をここで使うセンスが凄いですし、しっかり美味しいのが素晴らしい。
こちらにはスペインのグルナッシュ。通常もう少し重めの赤を牛肉と合わせる事が多いですが、少し軽めでこれもまたよく合いました。よく考えられてるなあ。
最後のお料理はご飯もの。締めにご飯もの出ると日本人は無条件に嬉しいですよね。
そのご飯ものは海老の出汁で作ったおじや。もうこのスープが瀬戸内中の海老を取ってきて煮込んだんじゃ無いのかというぐらい濃厚。所謂ビスクの様な感じです。
どうやら赤を飲んだらしいのですがおじやが美味し過ぎて忘れてしまいました。
これまで散々食べて来たのにスプーンが止まらず、おかわりを繰り返し、土鍋で出てきたおじやをほぼ完食してしまいました。満腹。母ちゃん、俺は今幸せだよ。
まだ終わりではありません。
デザートに行く前にソムリエの方が来られて、良く食べて頂き有難う御座います、とサービスでシャンパーニュを一杯頂きました。ペアリングは8杯のコースとメニューに記載があったので9杯目が出てくるとは。他のお客さんはペアリングでは無かったので通常のサービスかどうかは分かりませんが根が単純な人間なので素直に嬉しい。
ピノノワール100%のシャンパーニュは豊潤な香りと仄かな甘味でデザート分のスペースをきっちり作ってくれました。
デザート1品目は苺。苺をホワイトチョコでコーティングしたものの上に生クリームと苺のジュレが乗っています。苺自体の味もそうですがジュレが苺より苺感があり小さいながらも濃厚。ホワイトチョコと生クリームで苺に練乳付ける懐かしい感じの味わいでした。
2品目は蜜柑のプリン。上には蜜柑の皮を煮詰めたカラメル。これも心から美味しい。意外性は無いのですが、皮のカラメルが鼻を抜けて良い香りです。
最後はかぼちゃのアイスクリーム。これはめちゃんこ美味しいですね。想像しているよりかぼちゃが濃くバニラビーンズとマッチ。結構甘目なのも個人的には好み。
最後にコーヒー。まさかと思いますがこのコーヒーも引くほど美味しい。あまりコーヒーを好んで飲むタイプでは無いのですがこのコーヒーなら毎日飲みたい。濃くて香りが高く、先程のアイスクリームとベストマッチ。恐れ入りました。
完璧です。徹頭徹尾全てが見た目にも美しく、果てしなく美味しい。フレンチとは異なり素材の良さを最大限に活かす料理ですが、その引き出し方が凄すぎて今まで食べてきた料理は何だったのかと思ってしまうレベル。ワインもニューワールド系が多くヴィンテージも若いものが多かったですが料理と寄り添う素晴らしいものでした。
加えてサービスも完璧。皿出しが滞る様なことも一切無く、飲み物を持ってくるタイミングも完璧。ソムリエの方もサービスの方も物腰柔らかく一切不快な思いがありませんでした。最後店を出るとシェフまで出てきてお見送り。ほんま完璧か。
ついこの間エクアトゥールに行って腰を抜かす程美味しい料理を食べて、ここより美味しい所は無いだろうなと思ったのに、すぐ同レベルの料理に出会ってしまいました。これだから店巡りがやめられない。
何度も言いますが、完璧です。感動的。サービス面も含めて紛う事なき三つ星です。生きてきた事を感謝するレベル。
夢のような時間でした。絶対にまた伺います。御馳走様でした。
カセント
050-5595-3465
兵庫県神戸市中央区中山手通4-16-14
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